(1)創業者の息子二人が専務・常務として同じ会社に在籍していたが、 兄弟間の不和が承継期に表面化。親である創業社長は「兄弟で仲良く」を繰り返し、調整がつかない。 赤字体質のままズルズルと問題が先延ばしになり、危機感を抱いた次男が当社に相談。
そこで当社がお手伝いをして、実力派次男の独立用の新会社を設立。 長男に元の会社を引き継がせる姿勢を明確化した段階で、ようやく創業社長のあいまいな態度も変わり、問題に正面から対峙することに。結果、職人肌で経営より現場好きという長男が別の会社に移り、 次男が改めて後継となって経営に全力を注ぐこととなった。
長男に追随する社員が数名会社を去ることとなったが、 結果的に組織のスリム化が図られ、固定費が圧縮できた。更に次男のために新しく作った会社に、元の会社の一部事業を分離して移行したため、 業務のスリム化も図れ両社の経営課題がきれいに整理できた。焦点が絞られた課題解決に臨む若い経営者(次男)の熱意を金融機関も評価し、 事業再生の道筋がついた。
(2)個人事業で長い歴史と信用を得ている企業。事業は順調であったが、 過去の本業以外でのトラブルによる事業主の個人債務が存在。その返済を賄うため事業主の所得金額が膨らみ、 結果的に又その所得税がかさむという悪循環が続いていた。
そこで、当社がお手伝いをして事業を法人化。 ちょうど後継期にも重なっていたため子息への代替わりを行い、旧事業主は役員に就任。所得を個人事業期より大幅に圧縮し、 過大な所得税の軽減を図るとともに、債務の整理・統合を行った。債務の整理には時間がかかったが、 代替わりした若い経営者の新規事業構想を核とした経営革新計画が認定された事などが功を奏し、狙いどおりの財務整備が行えた。
⇒ここがポイント
事業承継は、現代の多くの中小企業が抱える課題。 高度成長期に事業を立ち上げた創業者達が今引退の時期を迎えていますが、子供がサラリーマンになったり都会へ出て行ったままで後継ぎがいない例も多いようです。このような場合はM&Aが有効な策になりますが、上記の事例のように運良く後継者がいても別の課題が山積している場合も又多く見られます。そこで、「事業承継」をうまく「事業再生」に結びつけることが肝要です。事業承継と言うのは、創業者からの単なる継続ではありません。第二創業と位置づけるべきです。そして、その時にしかできない長年の垢を落としたり、新体制構築につなげていきます。事業承継と事業再生の2つも課題がある、ではなく、2つだからこそ合わせ技で可能となる経営改革があるのです。 |