財務会計と管理会計

特に、企業の生命維持線である「カネ」については、出血がある場合には早急な止血が必要です。具体的に言いますと、「入金・出金サイトの見直し」 「低粗利製品・商品の見直し」「借入返済の見直し」「未収金・売掛金の早期回収」「経費過剰に対する原因対処」「有効な借入検討(できれば増資)」 などの手をできる限り速やかに進めます。

ある程度の緊急措置がすんだ後、着手すべきは「財務会計」以外の「管理会計」の導入です。会計は大きく分けますと、決算・申告のための財務会計 (税務会計含む)と、それ以外の管理会計とに分かれます。
これは、商法・税法で規定された会計制度(財務会計)が必ずしも経営にダイレクトに役立た ない、ということから当社では必ずご指摘させていただいています。

なぜ財務会計が経営にダイレクトに役立たないのか?これは簡単に申しますと、企業の中身は千差万別なのに、株主や税務当局としてはできる限り定型的 に数字を把握したいという「会計に対する考え方の違い」から生じています。もちろん、財務会計が大事なことは言うまでもありませんが、得てして 再生支援企業では「財務会計に固執する余り、経営に役立つスピードやタイミングでの数字の把握ができていない」ケースが多く見られるのです。

経営上の数字について最終的には細かな単位までのチェックが必要ですが、管理会計上は「概算」や「予測数字」、あるいは「比率」といったある程度 アバウトなものでも、その出てくるタイミングやスピードの条件を満たしていれば意義のあるものも多いのです。経営現場にとっては、「遅い正確な数字 」より「早い概算数字」のほうが実際に役立つことが多いのは間違いありません。